半球。
WHEN YOU WISH UPON A STAR
私は今 南の一つの星を見つけて気づいた。
南天に輝く南の一つ星が見えるってことはココは北半球なのか?
どうせ見えるなら南十字星の方でお願いしたかった。
この仮設監視小屋に送り込まれてはやふた月。
最初に聞かされていた契約期間も
「まぁ実際に何も見つけていないし仕方ない」
と思うことにし考えようによっては
と思うことにし考えようによっては
衣食住を保証された何不自由ない暮らしだと
ポジティブシンキングに生きようと決めた矢先
よりによって生まれ育った南半球ではなく
かつての栄華の慣れ果てが点在する
放棄された北半球に置き去りにされているとは。
今更ながらに死んだばあちゃんの言葉が思い出される
「上手い話と
『あ〜、もしもし俺だけど』
ってかかってくる電話には気をつけなさい」
あの募集広告にまんまと飛びついてしまった自分を呪うべきか
はたまた
まだ純真だった子どもの頃
夢中になっていた星空の神秘への憧れが
一つ叶ったことを喜ぶべきか?
とりあえず
私の雇い主が私の事を覚えていてくれることだけは
全力で祈っておこうか。
西暦2000年代の終わり
徐々に地球を蝕んでいた温暖化現象がついにその牙をむく
南極大陸の氷の融解による海面の水位の上昇と
東アジアのジャングルで突如発生した新型ウィルス
その混乱も収まりきっていない2100年代中頃に起こった地殻変動。
完全に資源が枯渇し原子力発電に頼りきっていた先進国
とりわけ世界の警察と自称する大国や
ユーラシア大陸北の超大国は完全に崩壊し
人間の立ち入ることの出来ない死の大陸となってしまった。
西暦2400年頃のお話。
人類の生息圏の大半は南半球に移りなんとか生きながらえていた。
そんな人類はおかまいなしに
どこからともなく湧いてくるブチ猫たち。
「いったい彼らはどこから来て何処ヘ向かうのだろう」
そんな書き出しで始まる
西暦2200年代中頃に発表された
生物学者のE何某博士の「庭猫理論」がまとめられている
著書『猫の生態 Mの記』は大ベストセラーとなり
200年経った時代にもしっかりと語り継がれていたりする。
「某国のEです 」エピソード7~猫の惑星~
act.4 WHEN YOU WISH UPON A STAR
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※この物語はフィクションです※
前のお話は下記よりお読み頂けます。
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