まだ49なんだからね。

気分はお兄ちゃんですが49歳らしいですよ。

新編。

BLUE MONDAY

 
「ったく、なんて日だ」
男は舌打ちと共に先ほど届いた手紙を破り捨てた。
本当なら今日、一ヶ月続いた任務を終え
家族の元に戻るはずだったのだ。
本来なら迎えが来る予定だった時刻にやってきたのは
通りすがりの遊牧民が投げるように置いていった
任務の期間延長を知らせるその手紙だけ。
砂漠のど真ん中
仮設監視小屋と名付けられたカプセルに置き去りにされて一月
いつ現れるとも分からない対象とやらを見張り続け
監視どころか何も現れる気配さえ無い。
逃げだそうにも
なんの装備もなく砂漠を放浪することになってしまう。
何よりこの任務を果たせば故郷に戻り家族に会い
そして念願の猫を買う資金が得られる。
猫を飼いA級市民の仲間入りをすることができる。
「なんて日だ‼︎」
男は恨めしそうに空を見上げて
さっきより少し大きな声で吐き捨てた。

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時に西暦2400年の半ば
すでに一年365日という概念がなくなって久しいので
年号や暦さえ定かでは無い。
西暦2000年代の前半をピークに繁栄を謳歌した人類も
2100年代初頭には資源の枯渇と拍車のかかった温暖化によって
もたらされた気候の激変と悪性のウィルスによって
徐々に衰退を始め大地は砂漠化をし
2200代半ばには世界の人口は半分にまで減少していた
その頃ある一部の科学者が提唱した理論により
この星の様相は激変していく
人類よりも逞しく時代を生き抜き進化していった生物。
猫を放し飼いにしている家には厄災を払いかつ
ささやかな幸福がもたらされる。
2200年代の終わり頃
生物学者のE 何某博士にまとめられた庭猫理論により
猫を敬い崇め奉る生活が定着し、かつての緑と水の青い惑星は
砂漠と海そして猫の惑星となっていった。
 
「某国のEです」エピソード7~猫の惑星~
act.1 BLUE MONDAY 
 
この物語はフィクションです。