新編。
BLUE MONDAY
「ったく、なんて日だ」
男は舌打ちと共に先ほど届いた手紙を破り捨てた。
本当なら今日、一ヶ月続いた任務を終え
家族の元に戻るはずだったのだ。
本来なら迎えが来る予定だった時刻にやってきたのは
通りすがりの遊牧民が投げるように置いていった
任務の期間延長を知らせるその手紙だけ。
砂漠のど真ん中
仮設監視小屋と名付けられたカプセルに置き去りにされて一月
いつ現れるとも分からない対象とやらを見張り続け
監視どころか何も現れる気配さえ無い。
逃げだそうにも
なんの装備もなく砂漠を放浪することになってしまう。
なんの装備もなく砂漠を放浪することになってしまう。
何よりこの任務を果たせば故郷に戻り家族に会い
そして念願の猫を買う資金が得られる。
猫を飼いA級市民の仲間入りをすることができる。
「なんて日だ‼︎」
男は恨めしそうに空を見上げて
さっきより少し大きな声で吐き捨てた。
時に西暦2400年の半ば
すでに一年365日という概念がなくなって久しいので
年号や暦さえ定かでは無い。
西暦2000年代の前半をピークに繁栄を謳歌した人類も
2100年代初頭には資源の枯渇と拍車のかかった温暖化によって
もたらされた気候の激変と悪性のウィルスによって
徐々に衰退を始め大地は砂漠化をし
2200代半ばには世界の人口は半分にまで減少していた
その頃ある一部の科学者が提唱した理論により
この星の様相は激変していく
人類よりも逞しく時代を生き抜き進化していった生物。
猫を放し飼いにしている家には厄災を払いかつ
ささやかな幸福がもたらされる。
2200年代の終わり頃
生物学者のE 何某博士にまとめられた庭猫理論により
猫を敬い崇め奉る生活が定着し、かつての緑と水の青い惑星は
砂漠と海そして猫の惑星となっていった。
「某国のEです」エピソード7~猫の惑星~
act.1 BLUE MONDAY
この物語はフィクションです。