再開。
MAYBE TOMORROW
あれからどれくらいの時間が過ぎただろう。
今自分が置かれている状況を冷静に判断するには
まだ時間が足りないが
逆に言えば時間だけはいくらでもある。
甘い言葉に釣られ
この仮設監視小屋と呼ばれるシェルターに
連れて来られてから幾歳月。
「なんて日だ!」
とか愚痴れていた頃が懐かしい。
今自分がいる場所が北半球だと分かり
この仮設監視小屋から逃げ出しても
到底生き延びるのは困難
という事実を自分の中で消化する間に
という事実を自分の中で消化する間に
どれだけ時間がかかったかさえ
どうでも良くなってしまった。
どうでも良くなってしまった。
時間とか期限とか何の意味も持たないのだ。
この閉ざされた環境下で出来ることは
あいも変わらず眼下の砂漠を流れ過ぎていく
チビ猫を眺めることと
理由は分からないがなぜかこの小屋に全巻揃っている
「庭猫理論」の提唱者であるE何某博士の著書
「猫の生態 Mの記」を読むことくらいなのだから。
未来の話を伝えよう。
僕らの住むこの時代が確かな現実である為に。
未来の話を伝えよう。
次に来る時代が進むべき道を間違えてしまわないように。
時に西暦2200年代の終わり
砂漠化が進む未来のこの星の辺境の地に住む
1人の生物学者によってその理論は確立されたと言われている。
文明が徐々に退化の道を辿り始めていた時代。
その生物学者の名前や研究資料さえ
正確には伝えられていない。
ただその学者の家系に受け継がれていた「理力」という
言葉では言い表しがたい不思議な力と
どの時代においても確かに存在し
尚且つ正式な文献や歴史には登場しない
ただ「E」という頭文字と先生という呼び名だけが
後世に何世紀にも渡って語り継がれている。
だからEの名を知り伝承を知る者として
偉大なる初代Eに敬意を表し
未来の話を伝えよう。
彼らの英知が我らの力であるように。
「某国のEです 」エピソード7~猫の惑星~
act.5 MAYBE TOMMOROW
act.5 MAYBE TOMMOROW
※この物語はフィクションです※
前のお話はサイドバーのカテゴリ一覧「某国のEです」お読み頂けます。
【↑パソコンよりご覧の方のみ】
【↑パソコンよりご覧の方のみ】
※スマホ等でご覧の方はこの記事のカテゴリ「某国のEです」をクリックして下さい※