まだ49なんだからね。

気分はお兄ちゃんですが49歳らしいですよ。

追想。

これは少し前に道程と言う記事でも書いたのですが
僕がずっと前から応援しているある女子サッカー選手のお話です。
これから始まる女子サッカーW杯に向かう選手たちと
先日マジメな記事を書いてた
奈良のお嬢(id:ka-ruto)へのエールを込めて
少し長めの話な上に何話かに分けて続きますが
どうか最後までお付き合い頂ければ幸いです。

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まだ
なでしこが今のように日本中から注目されていなかった頃
今は廃部になってしまった薄水色のジャージのチームに
スピードと突破力で勝負するエースがいました。
代表にも呼ばれるようになった彼女は更なる飛躍を目指すために
当時日本から一番近いプロリーグのあるアメリカに渡ります。
しかし
チーム事情やプレースタイルの違いから思うような結果は出せず
日本にてもう一度プレーすることになります。
所属チームが変わり結果も思うように残せない毎日。
その頃ドイツW杯出場件をかけて戦っていた
なでしこの監督から代表招集の連絡があり
久しぶりになでしこのジャージの袖を通した頃
あの事件は起こったのです。

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東日本大震災
そして福島の原発事故。
前に所属していたチームは活動休止状態になり
それだけならまだしも
彼女の元チームメートや同僚には
「こんな時にサッカーどころじゃないだろう」
とか
「こんな事態を起こしておいてよくサッカーなんか出来るな」
みたいなひぼう中傷が届くようになる。
当時女子サッカー選手としては珍しく個人ブログをもっていた彼女は
事故は起こってしまったけれど
専門書を調べて書いた予測できなかった事態や
それが同僚達の責任ではない事や
復旧や拡散防止の為に不眠不休で頑張っている事実を
彼女のブログに記事にしたのだが
非難は治らないどころか
「関係ないヤツが口を挟むな」的なコメントさえくるようになり
あの一言をたまらず書き込んでしまったのだ。

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「そんなに文句言うなら電気使うな」
かくして彼女のブログは大炎上し同僚の弁護をした記事ごと
削除しなければならない事態を迎える。
失意と無力感に襲われた彼女に救いの手を差し伸べたのは
代表チームを率いる監督だった。
「控え選手でいいならドイツについて来い」
自分にはまだ手を差し伸べてくれる人たちがいる
自分にはまだサッカーができる場所がある
彼女はその時一つの誓いを立てた。
「今の自分にできることを精一杯する」
例え試合に出られなくても
チームの為にできることはたくさんあるはずだから。
 
次回へ続く。