まだ49なんだからね。

気分はお兄ちゃんですが49歳らしいですよ。

某山。

山ガールの鬱屈

彼女は星を見ていた。
山頂に一人座って満天の星空を眺めていれば
日頃起こっている出来事が
ほんの些細な事に思えてどうでもよくなってくる。
若くして旅芸人集団フォーシーズンズに入団し
全国各地を飛び回る日々を過ごしながら
桜の国の諜報部員として
死してしかばね拾うものなしな活動をするうち
雨上がりの運動場の水たまりのような色の七草粥
さえ平らげる素養を
食いしん坊将軍に見いだされ
ついには副将軍の座にまで登りつめたものの
「生まれた星に帰りたい」
願望を抑えきれず今は隠居し日々放浪の毎日
を過ごしながら悠々自適な暮らしなハズが
彼女は今日も星を眺めている。

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せっかく土佐の闘犬を見に来たというのに
運悪く悪代官の所業を目にしたばっかりに騒ぎに巻き込まれ
仕方なく成敗したまでは良かったが
「この鍛え上げられた二の腕が目に入らぬか
こちらにおわすお方をどなたと心得る
恐れ多くも先の副将軍なんたらかんたら」
なお供のセリフにすっかり滅入ってしまった。
さすがに女の子とまでは言わないが
余りにも筋骨隆々な白髪&白髭なオジイを彷彿させる口上過ぎる。
知らない人が聞いたらマッチョなご老公と勘違いされかねない。
そんな噂が千里を駆け抜けたら
それはそれで美味しいかもしれないけど。

そんなわけで
彼女は今日も人里離れた山頂で1人星を眺めているのだ。

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某国のEです。
エピソード8~トランスファーマー・伝説の農夫~
act.2 山ガールの鬱屈

※この物語はフィクションです。