某星。
側用人の憂鬱
「イヤじゃ。イヤじゃ!余は我慢ならんのじゃ!」
奥の部屋から何かを投げ散らかす物音と共に
聞こえる罵声を耳に家臣達は思案に暮れていた。
「上さまのお怒りもそろそろ限界のようですな」
「普段は心根の優しい良いお方なのに
事今回の件に関しては全く手のつけようもございませぬ」
「このままではせっかく完成した
城内のwifi環境が台無しになりかねませぬ」
某宇宙の某太陽系にある某惑星の某島国のお話。
その人柄と食べっぷりで国民から絶大な支持を受け
時に民に癒しとなる絵画を表し時に民と共に祝福の舞を舞う
桜の国の誰が呼んだか食いしん坊将軍。
そんなのどかで麗らかな桜の国に
国の存亡の危機にさえなり兼ねない事態が迫りつつあった。
「じぃ!じぃはおらぬか?
余は、余はポテチが食いたいのじゃ!」
前年に桜の国を襲った大規模な自然災害で
国内のジャガイモ生産量の6割以上を占める地域が
甚大なる被害を受け
ポテチを作ろうにも原材料のジャガイモがない状態
は深刻さを極めていた。
桜の国の栄華を支えてきた食いしん坊将軍の唯一の欠点
一度お腹が空いてしまったら
大好物のポテチを食べるまで暴れだし
周りにあるものを投げ飛ばし蹴り飛ばしスマホを水没
させたりもしてしまう事さえあるのだ。
「お側用人様
このままでは城中の超精密機器が全てダメになって
家電量販店の思うツボにございます」
「確かにその通りですな。」
いやいや待て待て
家電量販店の思うツボで済めばまだ良い
このままの調子で破壊と損壊が繰り返されれば
ジャガイモどころか
家電量販店やwifi環境を提供できるショップまで
存亡の危機に瀕してしまいそうだ。
なんとかせねばなるまい。
「ここはあの方にお力をお借りするとしますかな」
「某国のEです。」
エピソード8 ~トランスファーマー・伝説の農夫~
act.1 側用人の憂鬱
※この物語はフィクションです。