後悔。
後に彼女自身が語った言葉。
「あの時試合に出てなかったら怪我をしなかった
かもしれないけど
かもしれないけど
きっと今の何倍も後悔していたと思う」
マレーシアにて行なわれた
ロンドン五輪最終予選の最後の試合。
試合前まではスタメン予想さえされていた
彼女の姿はベンチにあって膝にはテーピングが巻かれていた。
彼女の姿はベンチにあって膝にはテーピングが巻かれていた。
試合前の練習で感じた違和感による
大事を取ってのベンチスタート。
試合の展開では途中出場も必要なかったかもしれない。
それでも
日本で応援してくれている人たちに
ほんの少しでもプレーしている姿を見せたい。
せっかく試合に出られるチャンスを逃したくない。
そんな彼女を誰が止められただろう。
途中から出場した彼女を
容赦ないアジア女子サッカーの現状が襲う。
荒れ放題のピッチと執拗に激しく深いチャージ。
そしてついに彼女の膝は限界を迎える。
動く度に激痛が起こり走ることさえままならない。
仲間やベンチがその異変に気付いても
「もう走るな!外に出てろ!」
監督からの指示が飛んでも従う訳にはいかなかった。
交代はもうできない。
自分がピッチから出れば1人少ない状況になってしまう。
走れなくてもポスト役くらいにはなれる。
囮になってボールキープするくらいはできる。
相手陣地のライン際でわざとフリーになってボールを要求し
マークと激しいチャージを受け続けた。
試合終了のホイッスルが鳴り顔を歪めてピッチに崩れ落ちた彼女。
五輪出場を決めた喜びもそこそこに
キャプテンとディフェンスリーダーが真っ先に駆け寄る程
無理の代償は大きかった。
無理の代償は大きかった。