まだ49なんだからね。

気分はお兄ちゃんですが49歳らしいですよ。

後悔。

後に彼女自身が語った言葉。

「あの時試合に出てなかったら怪我をしなかった
かもしれないけど
きっと今の何倍も後悔していたと思う」

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マレーシアにて行なわれた
ロンドン五輪最終予選の最後の試合。
試合前まではスタメン予想さえされていた
彼女の姿はベンチにあって膝にはテーピングが巻かれていた。
試合前の練習で感じた違和感による
大事を取ってのベンチスタート。
試合の展開では途中出場も必要なかったかもしれない。
それでも
日本で応援してくれている人たちに
ほんの少しでもプレーしている姿を見せたい。
せっかく試合に出られるチャンスを逃したくない。
そんな彼女を誰が止められただろう。

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途中から出場した彼女を
容赦ないアジア女子サッカーの現状が襲う。
荒れ放題のピッチと執拗に激しく深いチャージ。
そしてついに彼女の膝は限界を迎える。
動く度に激痛が起こり走ることさえままならない。
仲間やベンチがその異変に気付いても
「もう走るな!外に出てろ!」
監督からの指示が飛んでも従う訳にはいかなかった。
交代はもうできない。
自分がピッチから出れば1人少ない状況になってしまう。
走れなくてもポスト役くらいにはなれる。
囮になってボールキープするくらいはできる。
相手陣地のライン際でわざとフリーになってボールを要求し
マークと激しいチャージを受け続けた。
試合終了のホイッスルが鳴り顔を歪めてピッチに崩れ落ちた彼女。
五輪出場を決めた喜びもそこそこに
キャプテンとディフェンスリーダーが真っ先に駆け寄る程
無理の代償は大きかった。

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膝十字靭帯損傷全治6か月。
帰国しすぐ手術そして長いリハビリの日々。
彼女は決して辛そうな顔を周囲には見せなかった。
それどころかメディアへの露出を率先して引き受けた。
「タレント転身?」
そんな声が聞こえてきても笑顔でこなし続けた。
年末そして年始は女子サッカー選手にとって大切な時期
日頃応援してくれるファンと触れ合える感謝デーや
皇后杯の試合もある。
サッカーができない自分が引き受けることで
他の選手が少しでもサッカーに集中できる。
もちろんそんな事を口に出していう子じゃないので
これは僕の想像でしかないのだけれど。

次回へ続く。