逡巡。
HERE THERE EVERYWHERE
砂漠の中に設置された観測場所で
「一か月間対象物を観察するだけで高収入があなたのものに」
私がこの仕事に飛びつくきっかけとなった求人票に書かれていた
仕事内容は何処へ行ってしまったのでしょう?
一か月と言う期間は私の承諾無しに破棄され迎えは来ない。
しかもこの仮設観察小屋と呼ばれるシェルターは
砂漠の中を移動している。
当初は、いやつい最近までは
私が寝ている間だけ私に気づかれないように
こっそり移動していたようだが
数日前からは私が起きている間も移動するようになった。
もうすっかり開き直って私に移動している事実を
隠す気もなくなってしまったようだ。
それと同時に私のこのシェルターでの任務である
砂漠を流れていくチビ猫の観察を記す
入力画面も表示されなくなった。
もう私の存在なんてどうでもよくなってしまったようだ。
おかげで今の私は
このシェルターに常備されている
生物学者E何某博士が書いた「庭猫理論」の原作
「猫の生態Mの記」を読みながら砂漠を旅する旅人と化している。
聞こえはいいかも知れないが
私が拉致軟禁されているという事実には何も変わりがない。
のだが。
隠された真実がソコにあるとして
それを知って平常心でいられる人はどのくらいだろう。
西暦2400年の中頃の話。
すっかり既成事実となった
生物学者のE何某博士によってまとめられたと言われている
「庭猫理論」が実は博士の書いた原作の
「猫の生態Mの記」の最終章のほんの一部分だけで
アジアの島国の歴史に度々登場する前世を持つ
Eと呼ばれる某組織のエージェントの生い立ちから始まり
とある辺境の惑星の辺境の町で育った若者が
ロボット2体をお供に宇宙海賊の宇宙船で旅に出たり
生き別れの妹が実はお姫様だったり
世間一般にはあまり知られていない。
そして
そのスペースオペラの最後のあたりで
その時代で猫と呼ばれている
ブチ柄のみでチビ猫野良猫庭猫と変化を遂げる
生き物の生態について触れられているのだが
その事実は一部の権力者によって封印され
語られることはないのだ。
「某国のEです 」エピソード7~猫の惑星~
act.11 HERE THERE EVERYWHERE
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※この物語はフィクションです※
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