まだ49なんだからね。

気分はお兄ちゃんですが49歳らしいですよ。

疑念。

 
一つ不思議に思っている事がある。
毎日毎日尽きることなく目の前を流れていくチビ猫たち。
彼らはいったいこの先何処へ向かうのか?
私が生まれ育った南半球の大陸なら
この広大に広がる砂漠のところどころに町が点在し
町に辿り付き無事に防砂壁を乗り越えられた猫は
町に住み着き野良猫となり
宿るべき家を見つけて庭猫となる。
そう教えられて育ったし
実際に今読み返している「庭猫理論」にもそう書いてある。
がしかし
私が今いる場所は北半球なのだ。
「天変地異により放棄された」と学校で習った北半球なのだ。
このまま流れて続けても町など無いはずなのに。
「彼らはいったい何処から来て何処へ向かうのか?」
庭猫理論の冒頭の言葉が
何度も私の頭の中で繰り返されている。

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想像してみて下さい。
辺り一面を砂漠に覆われ高い防砂壁に囲まれた町で
暮らし続けるしかない世界を。
インターネットはおろかテレビやラジオさえもなく
外界との通信手段が非常に限定されてしまった世界を。
書き手にとってなんて都合のいい
では無くて今の情報が溢れかえる世界とは
間逆の閉鎖された環境をどうか想像してみて下さい。
西暦2200年の終り頃
その頃の人口の殆どは天変地異の災悪を比較的受けなかった
南半球に集中していた。
そしてその世界の中心にいた一部の権利者達は
驚くべき決断を下したのだった。
どうせ渡航手段も限られ費用も莫大にかかるのならば
「北半球の生存者は無かった事にしよう」
こうしてこの星における人類分布は権力者にとって
都合よく書き換えられ
北半球の大陸は忘れ去られた地となっていくのである。
西暦2400年中頃のお話
かつて文明と繁栄の粋を尽くしていた水と緑の惑星は
砂漠と猫の惑星となっていた。
が、それでも
人類もなんとかしぶとく生き延びていた。
その星のいたる所で。
 
「某国のEです 」エピソード7~猫の惑星~
act.6 PARADISE LOST
 
この物語はフィクションです
 
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