舞踊。
僕がほぼ趣味で撮影に行くその会は
確かに日本舞踊の著名流派である
藤間流の師範が会主をしている会なのだが
俗に言う日本舞踊の会ではありません。
会主の家にも会の名前にも
藤間流はもちろんのこと藤の字さえ入っていない。
民舞の会。
「確かにあたしは藤間流の師範免状持ってるけど
藤間の踊りを教える会じゃないんだよ」
僕が出会う前からそう言って活動してきた
町の公民館活動が主体の
趣味で楽しく踊るのが基本路線なので
どちらかと言えば
会員さんがたの家族への発表会だから
衣装も凝らないし舞台装置も大袈裟にはしない。
白塗りはするけど鬘はつけない。
踊る曲目も
民謡に演歌に歌謡曲。
同じ公民館内のカラオケクラブとのコラボもあったり
留学生のアメリカ人の子が振袖デビューをしたりもする。
会主自ら藤間の名前を名乗らないし
俗に言う藤間の踊りを踊るのは
会主の孫娘二人だけと言う本当に部落のお楽しみ会なので
見る分には楽しいけれど
売り上げ的にはちっとも楽しくない。
それでも
「孫娘二人で一曲舞うのを見るまでの婆ちゃんの楽しみ」
とかなんとか言いながら
「今回で最後、今回で最後」と言いながら
もう何年も続いている会なので
「今回で最後だからもう一回だけ付き合って」
って電話が再来年かかってくるのを
僕は楽しみにしています。
だって
「あたしの会はAKB踊ったって良いんだ」
的な舞踊の会が無くなるのは
すごくもったいない気がするから。
売り上げなんかなくったって
僕的にはさよちゃんの踊りが見れたらそれでいいもん。